投資に興味を持っても、最初の一歩を決めるのは意外に難しいものです。
私も、ある勤務医の資産形成ブログを読んだことをきっかけに、築古戸建て投資へ興味を持ちました。
不動産情報サイトへ登録し、いくつかの不動産会社へ連絡して、実際に物件も紹介してもらいました。
しかし、紹介されたのは自宅から遠く離れた物件でした。DIYの経験もなく、購入後にどう管理し、修繕へ対応するのかも分かりません。
期待できる利回りは高そうでしたが、うまく運営している自分の姿を想像できず、結局は断念しました。
当時の私は、投資を主に「どれくらい増えるか」で見ていました。
しかし今は、期待リターンだけで投資を選ぶのは難しいと考えています。
本業と両立できるか。自分で仕組みを理解できるか。税金を含めて、最終的にいくら残るか。
勤務医の資産形成では、こうした条件を先に整理する必要があります。
この記事では、何から始めればよいか迷っている勤務医に向けて、資産形成の順番を7つのステップで整理します。
勤務医の資産形成は、商品選びから始めなくてよい
資産形成を考えると、最初に気になるのは投資商品の比較です。
インデックス投資がよいのか、不動産投資がよいのか。調べるほど選択肢が増え、かえって決めにくくなります。
勤務医は収入が比較的高い一方、仕事が忙しく、投資について体系的に学ぶ時間を取りにくい傾向があります。
そのため、分かりやすい利回りや成功事例に目が向きやすくなります。
私自身も、築古戸建て、トランクルーム、インデックス投資、短期トレードなどを経験しながら、少しずつ判断基準を作ってきました。
最初に探すべきなのは、「最ももうかる商品」ではありません。
まず、自分の現在地と資産形成の目的を確認することが必要です。
勤務医が資産形成を始める7つのステップ
1.昨年1年間で実際に残ったお金を確認する
最初に確認したいのは年収ではなく、1年間で実際に残った金額です。
年収が高くても、税金や社会保険料、生活費を差し引いた後にお金が残っていなければ、資産形成は進みません。
私が最初の投資を始めた頃も、勤務医として十分な資産形成ができていたとは言えませんでした。
研究に長く携わり、資産形成を本格的に考え始めたのも遅かったためです。
その時期に医師のアルバイトを始め、前年より収入が増えたことで、少しずつ貯金が進むようになっていました。
そこで、仕組みを自分なりに理解できたトランクルームへ、まとまった資金を投じました。
今振り返ると、当時の手元資金に対して決して小さな投資ではありません。
収入が増えており、投資後も再び貯められると考えていましたが、現在なら生活防衛資金や今後の支出を、もう少し明確に分けてから判断すると思います。
大切なのは、他人の投資額をまねることではありません。
まず、自分が1年間で実際にいくら残せているのかを確認することが出発点です。
2.資産形成で変えたい働き方を考える
目標を「1億円を作る」といった資産額だけにすると、その金額が本当に必要なのか分かりにくくなります。
勤務医であれば、働き方に置き換えて考える方が具体的です。
何歳頃に当直を減らしたいのか。週何日勤務にしたいのか。常勤を続けたいのか。
資産形成の目的が明確になると、必要な金額や取るべきリスクも考えやすくなります。
私も現在は、投資のリターンそのものより、最終的な手残りが働き方の選択肢につながるかを重視しています。
3.生活防衛資金と投資可能額を分ける
預金残高のすべてが、投資できるお金ではありません。
当面の生活費、教育費、住宅費、納税など、近い将来に必要なお金は分けておく必要があります。
投資額は、周囲の医師やインターネット上の成功例ではなく、自分の家計と収入の安定性から決めます。
私も最初の投資では、その時点の手元資金だけでなく、その後の収入から再び貯められるかを判断材料にしていました。
ただし、今なら投資後に残す現金を、当時より慎重に確認すると思います。
4.NISAやiDeCoなどの制度を確認する
私は医師が書いていた投資ブログを通してインデックス投資を知り、2018年から当時のつみたてNISAとiDeCoを始めました。
特にiDeCoは、税制上のメリットがあることも開始理由になりました。
NISAやiDeCoが誰にとっても最優先とは限りません。
年齢、収入、資金を使う時期、途中で引き出せるかどうかなどを確認する必要があります。
それでも、比較的少額から積み立てやすく、仕組みが分かりやすい制度は、一度確認しておきたい選択肢です。
5.本業と両立できる投資方法に絞る
投資方法を比較するときは、利回りだけでなく、必要な時間と手間も確認します。
築古戸建ては期待リターンに魅力を感じても、遠方管理や修繕の方法を理解できませんでした。
一方、トランクルームは会社が運営する仕組みで、購入後の流れを自分なりに想像できました。そのため、こちらは実際に始めることができました。
重要なのは、トランクルームが優れているということではありません。
自分が仕組みを理解でき、本業を続けながら管理できるかどうかです。
高いリターンが期待できても、日々の確認や判断に多くの時間を取られるなら、忙しい勤務医には続けにくいかもしれません。
6.理解できる範囲で始める
情報収集は必要ですが、調べ続けるだけでは、自分に合う方法かどうか分からないこともあります。
私は2017年にトランクルーム投資を始め、その後にNISAとiDeCoの積み立ても開始しました。
最初から一つの投資法に絞ったのではなく、複数の方法を経験しながら、自分の判断基準を作っていきました。
ただし、理解できていない商品へ大きな金額を投じる必要はありません。
生活に大きな影響を与えない範囲で始め、経験しながら見直していく方が現実的です。
7.手残りと負担を定期的に見直す
私はその後、投資コミュニティへ参加し、外貨の積み立てや短期トレードにも取り組みました。
短期トレードでは高いリターンを目指し、コロナ禍には勉強と実践へかなりの時間を使いました。
しかし、結果はおおむねトントンでした。
利益が大きく増えない一方で、相場を確認し、判断し、売買するための手間はかかります。
本業と並行して続けるには負担が大きく、最終的にやめました。
この経験から、現在は利回りの率だけでなく、本業の邪魔をしないか、税金を含めて最終的にいくら残るかを重視しています。
一度始めた投資でも、自分に合わないと分かれば見直して構いません。
私も最初から正解が分かっていたわけではない
振り返ると、私の資産形成は一直線ではありませんでした。
築古戸建てを断念し、トランクルーム、NISA、iDeCo、短期トレードなどを経験しました。
その過程で分かったのは、高い利回りが期待できることと、自分が長く続けられることは別だということです。
現在は、仕組みを理解できるか。本業を圧迫しないか。税金を含めて最終的にいくら残るか。その手残りが働き方の選択肢につながるか。
このような視点で投資を考えています。
最初から最適な投資を選ぶことより、目的と現在地を確認し、経験に応じて見直すことの方が大切だと思います。
今日確認する三つのこと
資産形成を始めたい方は、まず次の三つを確認してみてください。
- 昨年1年間で実際に残った金額
- 生活費とは別に投資へ回せる金額
- 何歳頃に、当直や勤務日数をどう変えたいか
この三つが分かると、自分に必要なリターンや許容できるリスクを考えやすくなります。
その後で、NISA、iDeCo、インデックス投資、不動産投資などを比較しても遅くありません。
資産形成は、働き方を選ぶための手段
資産形成の目的は、他の医師より大きな資産を持つことではありません。
仕事を辞めることだけがゴールでもありません。
当直を続けるか、減らすか。勤務日数を調整するか。今の仕事を続けるか。
そうした選択を、収入への不安だけで諦めず、自分で決められる状態をつくることが大切です。
高いリターンを求めるあまり、投資に時間を取られ、健康や本業を損なっては、目的と手段が逆転します。
資産形成は、健康・時間・お金を守り、働き方の選択肢を増やすための手段です。
まずは自分の現在地を確認し、理解できる方法から始めてみてください。
まず自分の現在地を数字で確認したい方は、「勤務医が資産形成を始める前に整理すべき3つの数字」もあわせてご覧ください。


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