勤務医の「労働依存率」を計算する方法|収入の何割を給与に頼っているか

勤務医として資産形成を考えるとき、どうしても「年収はいくらか」「資産はいくらあるか」という数字に目が向きます。

私自身も、以前はそうでした。年収が増えれば安心する。資産額が増えれば、将来の自由に近づいているように感じる。もちろん、これらは大切な数字です。

ただ、50代になり「これから仕事をどこまで減らせるだろう」と具体的に考えるようになってから、年収や総資産額だけでは判断しにくいと感じるようになりました。そこで重視するようになったのが、生活をどの程度、労働収入に依存しているかという視点です。

この記事では、これを便宜的に「労働依存率」と呼びます。公的な経済指標ではなく、私自身が働き方を考えるために使っている独自の考え方です。

年収が高くても、労働への依存度は高いことがある

勤務医は、比較的高い給与を得やすい職業です。しかし、その多くは自分が働くことで生まれる収入です。

常勤勤務、当直、外勤、健診。

形は違っても、自分が時間を使って働かなければ得られない収入という点では同じです。

年収が高くても、そのほとんどを給与に頼っていれば、仕事を大きく減らしたときに収入も大きく減ります。一方で、給与以外の収入があり、それだけで生活費の多くを賄えるなら、年収そのものが少し下がっても働き方の自由度は高くなります。

この違いは、年収だけを見ていても分かりません。

労働依存率の計算方法

私が考える労働依存率は、次の式で計算します。

労働依存率 =(年間生活費 − 給与以外の安定収入)÷ 年間生活費 × 100

手順は4段階です。

  1. 直近1年間の生活費を集計する
  2. 給与以外の安定収入を集計する
  3. 生活費から安定収入を引く
  4. 残った金額を生活費で割って100を掛ける

なお、給与以外の安定収入が生活費を上回ると計算上はマイナスになりますが、その場合は0%として扱います。

「生活のために労働収入を必要としていない」という意味では、0%とした方が実感に合うからです。

たとえば、年間生活費が600万円、給与以外の安定収入が300万円なら、

(600万円 − 300万円)÷ 600万円 × 100 = 50%

生活費の半分を労働収入に依存している状態です。給与以外の安定収入がゼロなら、労働依存率は100%になります。

数字で見ると、たとえば次のようになります。

年間生活費給与以外の安定収入労働依存率
600万円0万円100%
600万円300万円50%
800万円600万円25%

「給与以外の安定収入」に何を入れるか

ここで大切なのが、「給与以外なら何でも入れる」という考え方にしないことです。

私なら、実際に継続して入ってくる収入を対象にします。

たとえば、不動産からのキャッシュフロー、配当や分配金、年金、自分の労働時間と強く連動しない継続性のある事業収入などです。

一方で、一時的な株式や不動産の売却益、含み益などは入れません。

また不動産であれば、家賃収入の総額ではなく、経費や返済を差し引いたあとに実際に残るキャッシュフローで考えます。

重要なのは、「この収入は来年もある程度見込めるか」という視点です。

労働依存率は厳密な会計指標ではありません。働き方を考えるための目安なので、毎年同じ基準で計算することの方が重要だと思います。

私は資産額よりキャッシュフローを見るようになった

私自身、不動産投資を始めてから、考え方が少しずつ変わりました。

最初は、不動産から得られる収入も「年収を増やすもの」という感覚が強かったと思います。しかし、キャッシュフローが積み上がるにつれて、それとは別の意味を持つことに気づきました。

給与以外から継続して入ってくるお金が増えるほど、仕事をするかどうかを自分で選びやすくなるのです。

そのため現在は、総資産がいくらあるかだけでなく、

「自分の勤務時間とは直接連動せず、毎年いくら入ってくるのか」

「その収入で生活費の何割を賄えるのか」

という数字を見るようになりました。

私にとっては、この方が働き方の自由度を実感しやすい指標です。

労働依存率が下がると、仕事を辞めなくても自由になる

労働依存率を下げる目的は、仕事を辞めることではありません。

私自身も、医師を辞めることを目標にはしていません。

目指しているのは、

医師をしてもよいし、しなくても生活には困らない状態

です。

給与以外の収入が増えれば、まず負担の大きい仕事を減らすという選択ができます。

さらに労働への依存が下がれば、常勤から勤務日数を減らし、週2〜3日程度だけ医師として働くことも現実的になります。

仕事を続けるか、完全に辞めるか。

その二択ではありません。

労働依存率が下がるほど、その間にある選択肢が増えていきます。

まずは自分の数字を一度計算してみる

勤務医の資産形成では、「いくら貯めれば安心か」という問いがよく出てきます。

しかし、働き方の自由という意味では、資産額だけを見るよりも、

「自分の生活は、給与にどのくらい依存しているのか」

を一度計算してみる価値があります。

まずは、直近1年間の生活費を書き出してみてください。

次に、給与以外から継続して入っている収入を確認します。

そして、その2つの数字から労働依存率を計算してみる。

もし100%なら、まずは給与以外の収入を少しずつ増やしていく。

すでにある程度下がっているなら、さらに勤務を減らせる余地がないか考えてみる。

大切なのは、一気に0%を目指すことではありません。

私自身も、不動産からのキャッシュフローを増やしながら、今後は発信を中心とした事業収入も育てていきたいと考えています。

給与、不動産、事業。

収入源を複数に分けながら、給与への依存を少しずつ下げていく。

お金を増やすことそのものではなく、働き方を自分で選べる状態をつくること。

労働依存率は、その状態にどこまで近づいているかを確認するための、一つの物差しになると思っています。

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