不動産所得・副業を持つ勤務医は税理士をどう選ぶか

税理士選び。料金だけでなく任せる範囲と相談のしやすさを考えるイラスト

不動産所得や副業があると、給与だけのときより、申告で確認することが増えます。税理士を選ぶ際は、料金だけでなく、何をどこまで依頼したいかを先に整理すると比べやすくなります。

私自身、勤務医として働きながら個人名義で築古の一棟不動産を保有し、現在は税理士を利用しています。ただ、同じ勤務医でも、複数の勤務先から給与を受け取る人と、賃貸経営をしている人では、相談したい内容が違います。

ここでは、依頼範囲、個人の不動産を扱った経験、年間費用、連絡の取りやすさを整理します。

1.申告だけか継続相談も必要かを整理する

確定申告、記帳、減価償却、修繕と資産計上の判断、売却時の税金など、相談したい内容を書き出します。年1回の申告を依頼したいのか、継続して相談したいのかによって、必要な契約は変わります。

私はまず確定申告を依頼し、そのスピードと正確性に満足していました。2棟目で税務が複雑になったことから、随時相談もできる年間顧問契約に切り替えました。申告を任せるだけでなく、その都度相談できる契約へ変えた形です。

非常勤先の給与、賃貸収入、原稿料などは分けて伝えます。申告要否は「副業があるか」だけでは決まりません。給与収入が年2,000万円を超える場合なども対象です。複数給与を含む条件は、国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。

2.個人の不動産所得を扱った経験を確認する

資格・登録は、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確認できます。そのうえで、給与所得のある勤務医の個人不動産を扱った経験を聞きます。

面談では、例えば次のように質問できます。

・築古物件の耐用年数を判断するために、どんな資料が必要ですか。

・購入額を土地と建物に分ける際、どの資料や根拠で判断しますか。

・修繕費か資本的支出かを判断するには、見積書や工事明細の何を見ますか。

不動産所得は、収入から必要経費を差し引いて計算します。ただし、工事代を払えば、すべてその年の修繕費になるわけではありません。資産の価値を高める部分などは資本的支出となり、減価償却で経費にする場合があります。

「医師に強い」という紹介文だけでなく、資料に沿って判断の根拠を説明してもらえるかを見ます。

仕組みは減価償却と不動産所得の基本、出口まで考える場合は税金の繰り延べと売却まで考える記事を参考にしてください。

3.料金は、含まれる作業をそろえて比較する

報酬は一律ではなく、物件数、帳簿の整理状況、記帳や相談をどこまで任せるかで変わります。ここでは一律の相場額は示さず、自分の条件で年間総額を見積もってもらう方法を勧めます。比較する項目は次のとおりです。

確認したい項目見積もりでそろえる条件
申告と記帳自分で入力する範囲と税理士に任せる範囲
相談対応回数や方法、購入前・売却時の相談の扱い
追加費用物件取得、修正申告、税務調査対応などの料金
契約終了解約条件、帳簿や会計データの受け取り方

安く見えても、必要な相談がすべて別料金なら、自分に合うとは限りません。相談の機会が少なければ、申告のみの依頼も選択肢です。

日税連も、依頼範囲と報酬額について契約書を交わすことを勧めています。口頭の説明だけで終わらせず、どこまでが料金に含まれるかを残しておきたいところです。

4.法人化を前提とした提案かを確認する

私は現在、個人で不動産を保有し、法人化しない方針です。そのため、個人で続ける前提を理解してもらえることも重要です。

個人で保有を続けたい場合は、その方針を先に伝えます。法人化を提案されたときも、費用や継続的な事務負担を含めて確認します。個人のままの場合と比較して説明してもらいます。

税務上の所得と、返済や修繕の後に残る現金も同じではありません。税額が下がるという説明だけで物件を買わず、手残りは自分でも確認します。その考え方は「家賃収入・返済・減価償却から『本当の手残り』を計算する方法」で整理しています。

5.候補者と面談して依頼先を選ぶ

紹介サービスが無料でも、税理士へ依頼する業務は別の契約です。候補者との面談で、専門分野、費用、業務範囲、連絡方法を確認し、納得できる相手を選びます。

私の場合は、ミツモアで約5人の税理士を比較しました。オンラインで面談したのは、3人だったと思います。料金が高すぎず、不動産に詳しく、自分に合いそうだと感じた方に依頼しました。比較サイトの情報に加え、実際に話した印象も判断材料になりました。

担当する人、メールやオンラインでの相談方法、返信の目安も聞いておきます。勤務の合間にやり取りできるかも、依頼先を選ぶ条件です。

6.面談前に資料と質問をまとめる

前年の申告書、収支の記録、売買契約や融資返済の資料、修繕や設備交換の記録など、必要資料を相手に確認します。複数の勤務先があれば各源泉徴収票も整理し、安全な受け渡し方法を確認してください。依頼したい範囲、費用の上限、質問への回答方法を伝え、同じ条件で見積もりを比べます。

面談前のメモは、次の四つで十分です。

・収入の種類と物件数

・任せたい作業と自分でできる作業

・年間費用の予算と希望する連絡方法

・購入や修繕の前に相談したいこと

税理士に任せる場合も、提出する数字や説明は自分で把握しておきます。まずはこのメモを一枚にまとめ、同じ条件を候補者に伝える。そこから、自分の働き方と賃貸経営に合う依頼先を選んでいきたいと思います。

※税務の扱いは個別事情で異なります。具体的な申告や判断は税理士等にご確認ください。

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