資産形成を始めた頃、私はまず「収入を増やすこと」から取り組みました。
当時は平日の仕事に加えて、月に2回ほど週末の日当直をしていました。月によっては週末の半分が仕事という状態です。ほとんど休みがない時期もありました。
それでも、今のうちに収入を増やして、できるだけ早く資産形成を進めたい。そう考えて、かなり無理をして働いていました。
ところが、収入が増えるにつれて、少しずつ違和感を持つようになりました。額面の給与は確かに増えている。それなのに、思ったほど豊かになった感覚がないのです。
自分で確定申告をして、税金の大きさを知った
資産形成を始めてから、お金の管理についても勉強するようになりました。それまで自分ではしていなかった確定申告も、自分でするようになりました。
そこで初めて、自分が払っている税金の大きさを数字として強く意識するようになりました。
アルバイトを増やせば、当然ながら給与は増えます。しかし日本の所得税は累進課税です。所得が高くなるほど、税負担も重くなっていきます。
月2回の日当直までして増やした給与のうち、かなりの部分が税金として差し引かれる。その現実を数字で突きつけられたとき、これは何か対策を考えた方がいいと強く思いました。
税金を分割で納めていた時期もあります。引き落としの日に口座を確認して、「またこれだけ減ったか」と肩を落としたことを覚えています。
収入は増えているのに、思ったほど手元のお金は増えない。この経験から、働く量を増やして給与を上げるだけでは、資産形成には限界があるのではないかと考えるようになりました。
給与所得者は、自分で工夫できる部分が少ない
この頃、資産形成についての本を読み漁りました。その中で意識するようになったのが、給与所得者と事業者では、お金の流れそのものが違うということでした。
給与所得者は、基本的には税金などが差し引かれた後のお金を使います。一方、事業では、売上を得るために必要な経費を差し引いた後の所得に税金がかかります。
もちろん、事業だからといって自由に経費を作れるわけではなく、あくまで事業に必要な支出であることが前提です。
それでも私は、給与所得者は自分でコントロールできる部分がかなり少ないと感じました。特に勤務医の場合、収入の大部分は給与です。頑張って働いて給与を増やしても、税金を払った後のお金を貯め、そこから投資するという構造そのものは変わりません。
何か別の方法はないだろうか。そう考えて、税負担を適切にコントロールする方法も調べるようになりました。
いくつかの方法を検討した
アルバイトの契約形態を変えられないか考えたこともあります。ただ、契約の形式だけを変えて実態と合わないような形にすることには抵抗があり、私は実行しませんでした。
法人化について調べたこともあります。しかし当時の自分にとっては、手間や管理コストに対してどこまで効果があるのか疑問が残り、こちらも着手しませんでした。
後から問題になりそうなことはやりたくない。できるだけシンプルで、きちんと説明できる方法を使いたい。そう考えていました。
金融投資とは別の課題があった
当時、金融投資は順調でした。それでも私は、別の課題を感じていました。
金融投資で利益を得ることと、勤務医としての給与にかかる税負担をどうするかは、私の中では別の問題だったからです。いくら投資がうまくいっても、給与に対する大きな税負担そのものは変わりません。
せっかく水を入れているのに、バケツの底に穴が空いている。そんな感覚がありました。
まず、この部分を何とかできないだろうか。そう考えていました。
不動産には、私が求めていたものがそろっていた
もともと私は、投資ではインカムゲインを重視していました。短期トレードを経験する中で、キャピタルゲインを安定して取り続けることの難しさも感じていたからです。
そのため、保有しているだけで継続的なキャッシュフローを生む資産には、以前から興味がありました。実際、小規模ながらトランクルーム投資もしていました。
その延長で不動産投資を詳しく調べていく中で、減価償却という仕組みを知りました。
不動産には、家賃によるキャッシュフロー、借入によって投資規模を大きくできる仕組み、そして減価償却による税務上の効果がありました。私にとって、この組み合わせは非常に魅力的でした。
ただし、税金が減ればどんな物件でもよいとは考えていません。
一番大事なのは、あくまでキャッシュフローです。
きちんと収益を生む物件であること。そのうえで借入によるレバレッジを使い、さらに減価償却によって税負担をコントロールできる。
そこに、不動産投資の大きな可能性を感じました。
金融投資が順調だった私が、それでも不動産へ資金を移していった理由の一つは、ここにあります。
ただし、減価償却は「使えば税金がそのまま消える」という単純な仕組みではありません。調べていくと、いわゆる「税の繰延べ」という側面もあることが分かります。
では、後で税金を払う可能性があるのなら、本当に意味があるのでしょうか。
次の記事では、まず減価償却の仕組みそのものを整理してみたいと思います。


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