勤務医が転職・非常勤を考えるときの判断基準

勤務医が転職・非常勤を考えるときの判断基準。カレンダーと指差しする医師のイラスト

当直を減らしたい。週5日の勤務を少し減らしたい。それでも、収入への不安があると、働き方を変える決断は難しくなります。

最初に整理したいのは、今の勤務の何を変えたいかです。そのうえで、現職での調整、常勤先の変更、定期非常勤を、働く時間の希望、年間手取り、実際の業務という同じ軸で比べます。

私自身、週1回の外勤経験が、その後に常勤先を選ぶ判断材料になりました。今も常勤を続けながら、これからの勤務日数を考えているところです。実際に経験したことと、今後検討したいことを分けてお伝えします。

当直と勤務日数と仕事内容を分けて考える

当直やオンコールを減らしたい

本務先の当直、外勤の日当直、自宅待機のオンコールは、別々に整理します。回数だけでなく、夜間に実際に呼ばれる頻度や、当直明けの勤務の扱いまで確認します。夜間の負担が主な悩みなら、常勤を続けながら当直を減らす方法も候補になります。

当直を減らした後の家計が気になる方は、当直をやめる前に確認したい収支と判断基準から整理してみてください。

勤務日数を減らしたい

週の勤務日数と、完全に仕事から離れられる日は分けて考えます。週4日勤務でも、休日の連絡対応が多ければ、期待したほど休めないかもしれません。平日に休みたいのか、週末を家族と過ごしたいのかも具体的にしておきます。

仕事内容や職場を変えたい

診療内容、責任の範囲、通勤、スタッフとの関係は、勤務日数を減らすだけでは変わらないことがあります。続けたい診療と減らしたい業務を分け、条件を「必須」「できれば希望」「受け入れられない」に整理します。

現職調整と常勤転職と定期非常勤を比べる

ここでは、毎週決まった曜日などに継続して働く形を「定期非常勤」と呼びます。今の職場で調整できる範囲も含めて、三つの選択肢を比べます。

選択肢検討しやすい状況特に確かめたいこと
現職での調整職場には合っていて、当直や日数を変えたい調整できる範囲、給与の減額、残る業務
常勤先の変更常勤を続けながら、仕事内容や環境を変えたい実際の業務量、休日対応、職場との相性
定期非常勤勤務日や業務の範囲を絞りたい年間勤務回数、休む日の扱い、契約更新、社会保険

日数や給与だけが減り、担当業務が変わらなければ、負担は十分に軽くなりません。非常勤先を組み合わせる場合も、移動と休息を含めた一週間の予定で考えます。

額面年収ではなく変更後の年間手取りで考える

日給や時給の高さだけでは、家計を支えられるかは判断できません。賞与や手当、年間に実際に働ける回数、祝日や休む日の給与の扱いを確かめ、同じ一年間で比べます。退職金の有無も、毎年の収入とは分けて確認しておきます。

収入は、税金と社会保険料を差し引いた年間手取りで見ます。そこから生活費に加え、教育費や車・家電の買い替えなど一年に必要なお金を引き、どの程度の余裕が残るかを確認します。

投資の評価益や一時的な収入は、継続して生活費に充てられる収入と分けて考えます。社会保険は、働き方によって加入先や負担額が変わることがあるため、勤務先に確認しておきます。

非常勤を選択肢に入れる方は、勤務時間と勤務先別の社会保険の確認点も見ておくと、比較に必要な情報をそろえやすくなります。

生活費以外に見落としやすい支出は、こちらで整理しています。

勤務日数を減らせるかは、生活費だけでは決まらない

家計のどの部分を給与で賄う必要があるかは、こちらの記事も参考になります。

生活費を給与にどれだけ頼っているかを計算する

求人票だけでなく実際の勤務条件を確かめる

「当直なし」でも、オンコールや休日の問い合わせ対応が含まれるかは別に確認します。通常の退勤時刻、担当する患者や業務の量、急変時に相談できる相手も聞いておきたいところです。

見学や面談では、スタッフ同士のやり取りの雰囲気や、自分の診療の進め方が職場の方針に合いそうかも見ておきます。給与と勤務日数が希望どおりでも、無理なく続けられるとは限らないためです。口頭での説明と書面の条件に違いがないか、契約前に確認しておきます。

非常勤の候補が見つかったら、求人票の給与・業務範囲・契約更新のチェックリストを使い、未確認の条件を書き出してみてください。

私の場合は週1回の勤務経験が常勤先を選ぶ材料になった

私が現在のクリニックと出会ったときに探していたのは、週1回の訪問診療の外勤先でした。研究所に勤めていた時期で、最初から常勤への転職を考えていたわけではありません。

重視したのは、自宅から近いこと、給与が妥当であること、スタッフの雰囲気が自分に合うことでした。実際に働く中で、人として馴染みやすく、自分の診療の進め方もクリニックの方針に合っていると感じました。

その後、研究を辞めて別のクリニックで常勤として働き始めました。数か月後、以前から非常勤で働いていた今のクリニックから常勤の打診を受け、現在はそこで働いています。すでに一緒に働いた経験が、勤務先を選ぶ具体的な判断材料になりました。

これは私の場合の経緯であり、非常勤から入れば常勤になれるという話ではありません。ただ、求人票や面談では見えにくい職場との相性を、実際に働いて確かめられたことは大きな材料でした。条件に加え、自分がそこで働く姿を具体的に考えられることが、大切だったように思います。私自身は今も常勤のまま、今後の勤務日数を考えている段階です。

週1回の訪問診療を探したときの希望や、その後に常勤先を選ぶまでの経緯は、「週1回の訪問診療から常勤へ」に詳しく書いています。

現職や紹介会社に相談する前に、必要な条件を整理する

相談する段階で、転職や非常勤への移行を決めておく必要はありません。変えたい負担、必ず残したい条件、必要な年間手取りを一枚にまとめておくと、求人や現職の調整案を自分の基準で比べやすくなります。

転職するか決める前の整理にも使えます。メモ帳などにコピーして、ご自身の手元で記入してください。登録・送信は不要です。

働き方を整理する5行メモ

今の働き方で減らしたい負担:__
今後も守りたい条件:__
必要な年間手取りの目安:__
現職で調整できそうなこと:__
まだ分からず確認したいこと:__

紹介会社へ相談する場合も、まだ比較中なのか、応募も考えているのかを伝え、連絡の方法や頻度を相談します。条件が曖昧なまま応募を決めず、確認のための相談として使ってよいと思います。

紹介会社に何を伝え、どこまで確認してから応募するかは、「医師転職エージェントを使う前に知っておきたいこと」にまとめています。

自分の希望と未確認の条件を整理し、それを確かめるために相談する。その順番で考えると、納得できる働き方を選びやすくなると思います。

ただし、健康や安全に支障がある場合は、準備がそろうまで無理を続けず、早めに職場や産業医、公的な相談窓口に相談してください。

まだ家計や収入の整理ができていない方は、こちらから確認してみてください。

勤務医がセミリタイアを考えるとき、資産額より先に見るべきもの

参考資料

社会保険と勤務条件の確認に関する参考資料です。個別の適用は勤務先や関係機関へご確認ください。

日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

厚生労働省 アルバイト先でのトラブル

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