レントロールの見方 満室の一棟アパートで購入前に確認する項目

満室でも、家賃の条件を確かめる。契約・入金・引渡し前の状態を見る

「満室だから、この家賃収入が続くだろう」。一棟アパートの資料を見ると、そう考えたくなるかもしれません。ただ、満室という表示だけでは、契約内容や実際の入金、その先の退去予定までは分かりません。

部屋ごとの賃貸条件をまとめたレントロールは、契約や入金資料と照合して読みます。合計額から利回りを計算する前に、今の家賃がどのような条件で成り立っているかを確かめましょう。

1 資料の日付と部屋の状態を確認する

レントロールは、ある時点の賃貸状況の一覧です。作成日を見て、その後の入退去が反映されているかを尋ねます。様式は資料によって異なり、空欄が「該当なし」とは限りません。

入居中、契約済みで入居前、募集中を区別します。現況の契約賃料と、空室にも想定家賃を入れた満室想定収入も分けて確認します。

次は読み方を示す架空の3室の例です。実在の物件や私の保有物件の情報ではなく、金額は月額です。

部屋 状態 契約賃料 共益費 確認する点
A室 入居中 6万円 3千円 入金資料と照合
B室 入居中 6万円 3千円 要確認 家賃免除期間中
C室 募集中 未契約 未契約 要確認 募集は家賃6万円 共益費3千円

B室が当月の家賃全額免除、共益費は支払い対象なら、当月の支払予定額は3千円となり、通常月の6万3千円と異なります。C室の募集家賃はまだ契約収入ではありません。この表だけでは、実際に入金された額は分からず、別の資料との照合が必要です。

2 契約額と実際の入金を照合する

賃料と共益費を分け、入居開始日、契約期間、普通借家か定期借家か、更新や再契約の条件を確認します。年間収入に一時的な収入が混ざっていないかも見ます。敷金などの預り金は毎月の家賃と区別し、返還と売買時の承継条件を確認します。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書について」は、これらの項目を整理する参考になります。ただしモデルであり、物件ごとの契約は個別に確認します。

仲介担当者を通じて、賃貸借契約書の写し、変更合意、入金状況が分かる資料との照合を依頼します。入居者の個人情報は必要な範囲に絞り、マスキングされた資料で確認できる内容を整理します。

一定期間の家賃を免除するフリーレントは、対象費目と期間、通常支払いの開始月を確認します。入金が少ない月は、対象月、入金日、免除や精算の有無を確かめ、すぐに滞納と決めつけないようにします。

全日本不動産協会の記事の「収益物件取引の基本確認事項」でも、一覧と裏付け資料の照合、契約内容や賃料延滞の確認が挙げられています。個別の契約の有効性や権利の承継は、仲介担当者や必要に応じて法律の専門家へ確認してください。

3 周辺相場と物件内の家賃差を見る

周辺物件は、広さ、築年数、立地、設備などの条件をそろえ、共益費や募集条件も含めて比べます。募集広告の家賃と、実際に成約した家賃は区別します。

私もポータルサイトで、同じ地域の条件が似た物件の家賃を見て、レントロールと比較しました。検討物件はおおむね同じ程度か少し安めで、自分の考えと合っていました。

また、長く入居している部屋と、直近で入れ替わった部屋の家賃も比較しました。その差から家賃下落を考え、物件内の最低水準の家賃になった場合の収支も確認しました。

部屋ごとの差には入居時期以外の条件も関わり、現在の最低家賃が将来の下限を保証するわけではありません。担当者には比較条件や最近の成約状況を尋ね、必要ならさらに家賃が下がる場合も計算します。手残りへの反映は「本当の手残りを計算する方法」で整理しています。

4 見込みと引渡し時の状態を分ける

私の2棟目は、視察時には大規模修繕中で、かなり空室がありました。引渡しまでに満室に近づく見込みを購入判断の条件として、担当者に成約状況を逐次確認しました。結果として、満室での引渡しとなりました。

購入後も同じ会社に管理をお願いする予定だったことが、実現につながったと私は感じています。ただし、これは私の受け止め方であり、管理を任せれば満室になるという一般的な話ではありません。

募集の見込みと、契約が成立した状態は分けて確認します。引渡し前には最新の一覧で、次の三つを確かめます。

・新規契約の入居開始日と、家賃支払いの開始時期

・敷金等の引継ぎ額と、その取扱い

・直近の退去通知や契約変更の有無

満室で引き渡された後も退去や家賃下落は起こり得るので、引渡し時点の収入だけで長期の収支を判断しないことが大切です。

5 忙しい勤務医は質問をまとめて送る

日中に電話をしにくい勤務医なら、部屋ごとの不明点をメールにまとめると、回答と資料を後から照合しやすくなります。例えば次のように依頼できます。

「購入検討のため、最新のレントロールと変更点をご共有いただけますか。B室の家賃免除の対象費目・終了月、C室の契約状況と入居予定日、敷金等の承継と直近の退去通知について確認したいです。契約書や入金資料で照合できる範囲もお知らせください。」

これは上の架空例に対応した文面です。実際には資料にある部屋番号と質問へ置き換えます。回答が出た項目と未確認の項目を分け、資料不足を都合のよい数字で埋めないようにします。

まずは手元の一覧に、確認したい行を一つ選んで印を付けてみてください。収入の前提がそろったら「勤務医が不動産投資を始める前に確認すべき数字」で、返済や資金余力も合わせて整理できます。

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