不動産投資で融資条件が出た後、「本当にここまで自己資金を入れてよいのか」と迷う人は少なくないと思います。
私も、一棟アパートの1棟目を検討したとき、すぐには決断できませんでした。
金融機関から示された条件では、自己資金を入れた後に手元に残るのは、生活費の約1年分でした。
まとまった金額を動かすことになります。
「本当にここまで現金を使ってよいのか」
そう考えると不安になり、融資条件が出たからといって、すぐに購入を決めることはできませんでした。
融資条件が出てから、1週間以上計算を続けた
金融機関から融資条件が示されると、必要な自己資金と、購入後に残る現預金が具体的になりました。
おそらく、私の年齢や資産状況などを踏まえた条件だったのだと思います。
私が一番気にしていたのは、自己資金の金額そのものより、購入後の現金が生活費約1年分まで減ることでした。
そこで、その物件を購入した場合に、最終的にどれくらいのお金が手元に残るのかを何度も計算しました。
書籍で学んだ方法を使い、自分が数字の上で納得できるまでシミュレーションを続けました。決断までには、1週間以上かかったと記憶しています。
自己資金の金額だけを見ても、私には決められませんでした。
そのお金を入れた後に、物件の運営と家計の両方が持ちこたえられるのか。そこまで確認しないと、購入には踏み切れなかったのです。
減価償却より、税引後に残る現金を見た
シミュレーションでは、まず家賃の総収入から、空室や滞納による減収を差し引きました。
さらに、管理費、清掃費、修繕費などの運営費と、年間の返済額を引きました。
次に、借入金の利子や減価償却費を反映して不動産所得を計算し、税引前利益と税引後利益を大まかに見積もりました。
ここで分けて考えたのが、帳簿上の利益と、実際に手元へ残る現金です。
減価償却費は経費になりますが、その年に同じ金額の現金が出ていくわけではありません。
一方、ローンの元本返済では現金が出ていきますが、必要経費にはなりません。
私が知りたかったのは、減価償却によって不動産所得がどう見えるかだけではありませんでした。
元本を返済し、概算の税金まで考えた後に、年間でどれくらいの現金が残るのか。
その手残りを投入する自己資金と比べて、自分が納得できる収益になるのかを確認しました。
空室や修繕を入れても、資金が続くかを考えた
満室がずっと続く前提にはしませんでした。
空室や滞納による減収を置き、運営費と修繕費も見込んだうえで、それでも返済後に現金が残るかを確認しました。
購入後の現預金が少なくなるため、少し条件が崩れただけで資金が尽きる計画では続けられません。
保有中の手残りだけでなく、将来売却した場合の計算もしました。
想定した売却価格から売却費用と、その時点のローン残高を差し引き、どのくらいの現金が戻る可能性があるのかを見積もりました。
減価償却についても、保有中の効果だけを見て、恒久的な節税になるとは考えませんでした。売却時の建物取得費には、所有期間中の減価償却費などが反映されるためです。
もちろん、実際の空室や修繕、売却価格が計算どおりになる保証はありません。
それでも、条件を厳しく置いて計算したうえで、購入する合理性があると自分なりに判断できたため、購入を決めました。
購入後の実績と、現在の私なら確認すること
購入後の家賃、運営費、返済、空室、修繕の実績は、事前の想定から大きく外れませんでした。
あらかじめ空室や修繕を織り込んでいたため、現時点の手残りは想定より少し多くなっています。ただし、大きく上振れしたというほどではありません。
2棟目では、1棟目の経験があったため、数字を確認した後はほぼ即決できました。
それでも1棟目のときは、何度計算しても、自分で納得するまでは心理的な負担が消えませんでした。
現在の私なら、突発的な支出に耐えられるかを、当時よりも重く見ます。
特に大規模修繕については、建物の状態や修繕履歴から発生する時期を見積もり、それまでに必要な資金を積み上げられるかを確認します。
手元にいくら残すかについても、大規模修繕が発生しそうな時期を踏まえて考えます。
残りの資金をどこまで投資に回すかは、自分がどこまで攻め、どこから守るかという判断になります。
私の1棟目は、今振り返ると、少し攻めた判断だったかもしれません。
大きな自己資金を入れたこと自体が正解だったとは、一般化できません。
確認すべきなのは、自己資金の金額だけではないと思います。
購入後に残る生活防衛資金、返済と税金を考えた後の手残り、空室や修繕への耐久力、そして将来売却したときに戻る資金。
それらを一つにつなげて考えたうえで、自分がその条件に納得できるかどうかが重要です。
私の場合は、減価償却だけでなく、返済と税金を考えた後の現金まで計算したことで、ようやく決断できました。
自己資金の金額そのものより、その後の物件運営と自分の生活を数字でつなげて考えられるかどうか。
それが、1棟目を購入したときの私の判断基準でしたし、今でも変わっていません。


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