「手元にいくら現金があれば安心なのか」
資産形成を進めている勤務医であれば、一度はこの問いにぶつかったことがあるのではないでしょうか。
私自身、この答えを一度で決められたことはありません。資産が増えるたびに、働き方が変わるたびに、何度も考え直してきました。
今回は、私がこれまでどのように現金残高と向き合ってきたのか、その変化を振り返ってみます。
私は、生活費3か月分から始めた
資産形成を始めた頃、私が現金として残していたのは、生活費の約3か月分でした。それ以外は、投資信託やトランクルームへ回していました。
日常の決済資金、納税資金、予定支出というように、細かく分けていたわけではありません。
まだ資金が少なかったため、まずは生活が止まらないだけのお金を確保した、というのが正直なところです。
現金が多ければ安心できます。しかし、その分だけ投資へ回せるお金は減ります。かといって投資を急ぎすぎると、今度は手元に余裕がなくなります。
このバランスを考えるには、まず年間の手残り額と必要生活費を把握しておく必要がありました。
この二つについては、勤務医が資産形成を始める前に整理すべき3つの数字でまとめています。
一棟アパートを買い始め、残す現金が増えた
その後、一棟アパート投資へ進んだところで、現金に対する考え方が変わりました。
自分たちの生活費だけでなく、物件購入後の収支や税金も見ておく必要があります。資産の規模が大きくなるにつれて、生活費3か月分では心もとなく感じるようになりました。
現在の私は、物件を買い進める「攻めの時期」にいます。
生活費の約1年分を手元に置き、それを超える資金を物件購入へ振り向けています。
将来、買い進める時期を終えて、資産全体を守る段階に入ったら、物件総投資額の2〜3割を流動性資金として持つ方針です。
すべてを現預金にするという意味ではありません。必要なときに動かせる資金として考えています。
この2〜3割という数字は、50代勤務医に共通する基準ではありません。今の私の投資規模と、これから不動産をどこまで増やすかを踏まえたものです。
一度決めて終わりにするのではなく、物件を購入するたびに、購入後にいくら現金が残るかを確認しています。
その土台になっているのは、毎月の収支と資産・負債の把握です。
以前は月に1回、数時間をかけて手作業で表にまとめていましたが、今は家計管理サービスも利用しています。
生活費だけでは、必要な現金を決められなかった
現金をいくら残すか考えるとき、私は毎月の生活費だけでは判断材料が足りませんでした。
旅行、車、家電の買い替えなども概算し、年間予算に入れるようにしてきました。
月々の支出だけを見ていると、手元に必要なお金を少なく見積もってしまうからです。
現在は、手元に残す現金を次のように考えています。
必要現金
=日常の決済資金
+収入が減ったときの生活費
+数年以内の予定支出
納税額については、自分で確定申告を続けるうちに、おおよその金額が分かるようになりました。
不動産を買うときも、購入後に税額がどう変わるかを事前に試算しています。
一方で難しいのが、不動産の修繕費です。
いつ、いくら必要になるかを正確に読むのは難しいため、必要現金の中に細かく積み上げてはいません。
その代わり、満室想定でキャッシュフローが回るかどうかを重視しています。
修繕や退去に伴う費用のすべてを吸収できるとは限りませんが、まずは普段のキャッシュフローで対応できる収支を目指しています。
当直や外勤を減らす判断は、キャッシュフローで考えた
働き方を変えるときも、私は毎月のキャッシュフローを確認しながら判断してきました。
研究所で働いていた頃は、週1〜2回の医師アルバイトを入れていました。本業とアルバイトの収入が、ほぼ同じくらいになった時期もあります。
その後、研究所を退職して常勤医へ移りましたが、週末のアルバイトは続けていました。
手元現金に余裕が出てきてから、隔週だった勤務を月1回に減らしました。
さらに条件のよい勤務先へ転職し、不動産のキャッシュフローが積み上がったところで、週末のアルバイトをやめました。
勤務を減らした後の不足額を、手元現金だけで埋め続けるつもりはありませんでした。
当直や外勤を減らして失う収入を、給与以外のキャッシュフローでどこまで補えるか。
手元現金と不動産のキャッシュフロー、その両方を見ながら、少しずつ勤務を減らしてきたというのが実際のところです。
現在の私が、生活費1年分を残す理由
現在は、給与振込口座を日常の決済に使い、不動産についてはローンごとに口座を分けています。
税金の還付金が入る口座も別にしていますが、ここには特に大きな意図はなく、メイン口座でもよいと思っています。
口座の分け方よりも、私が重視しているのは生活防衛資金です。
今は物件購入を進めている時期なので、生活費の約1年分を手元に置いています。
資産形成を始めた頃は約3か月分でしたが、不動産が増えるにつれて、残す現金も増えてきました。
将来、買い進める時期を終えたら、物件総投資額の2〜3割を流動性資金として持つつもりです。
50代勤務医が残す現金について、すべての人に当てはまる一つの正解を出すのは難しいと感じています。
今の私なら、まず生活費と数年以内の予定支出を確認します。そこに税額の変化と不動産のキャッシュフローを重ね、大きな投資をするたびに、手元に残す金額を見直します。
3か月分から始まり、今は1年分。その先は、物件総投資額の2〜3割。
残すべき現金は、年齢だけで決まるものではありません。資産の規模や働き方、これから取ろうとしているリスクに合わせて、考え直していくものだと思っています。

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