金利が上がるというニュースを見ると、保有している物件の返済や、これから購入する物件の収支が気になります。
ただ、金利の先行きを正確に予想することは難しいと思います。まず確認したいのは、自分の借入条件で金利が変わったとき、年間の手残りがどれだけ減るかです。
今回は、家賃や運営費を変えずに、金利だけを変えて比べる方法を整理します。「1ポイント上昇」は、年2%から年3%になるような、1パーセントポイントの上昇を指します。
最初に返済予定表と契約条件を確認する
手元に用意するのは、最新の返済予定表、契約書、金利変更の通知です。購入前なら、金融機関から提示された融資条件を使います。
確認したい項目は、現在の借入残高、残りの返済期間、適用金利、返済方式、金利と返済額が変わる時期です。借入当初の金額や期間をそのまま入力すると、今の返済との比較がずれてしまいます。
元利均等返済と元金均等返済でも計算は異なります。住宅ローンの説明で見かける「5年ルール」「125%ルール」が、自分の投資用ローンにもあるとは限りません。
例えば、SMBC信託銀行の不動産投資ローンの変動金利型商品説明書には、1年ごとの金利見直しと、利率変更に伴う返済金額の見直しが記載されています。これは一つの商品例であり、契約条件の確認が必要だという意味で紹介しています。
固定金利を利用している場合も、固定期間の終了日と、その後の金利・返済額の決まり方を確認しておきたいところです。
同じ残高と期間で金利だけを変える
ここからは説明用の架空例です。私自身の借入額や契約条件ではありません。
借入残高3,000万円、残り20年の240回払い、元利均等返済、毎月返済、ボーナス返済なしとします。金利変更と同時に返済額を計算し直し、その金利が残りの期間中ずっと続く単純なモデルです。税金、手数料、契約ごとの返済額据置などは含めません。
年2%では、毎月の返済は約15万1,765円、年間では約182.1万円です。
年3%では、毎月約16万6,379円、年間約199.7万円。年2%に比べると、毎月約1万4,614円、年間約17.5万円増えます。
年4%では、毎月約18万1,794円、年間約218.2万円。年2%に比べた増加額は、年間約36.0万円です。
自分で試算する場合は、元利均等返済に対応した返済シミュレーターに、同じ残高と残存期間を入れ、金利だけを変更します。実際の端数処理や返済日は金融機関の計算と異なることがあるため、最終的には返済予定表と照らし合わせます。
残高に1%を掛けても返済増にはならない
3,000万円に1%を掛けると、30万円になります。しかし、この30万円を、そのまま年間返済額の増加と考えることはできません。
これは残高が変わらないと仮定したときの、年間利息増の大まかな目安です。実際には毎月元金が減り、元利均等返済では金利が変わると元金と利息の配分も変わります。
先ほどの例では、年2%から年3%になると、最初の1年間の利息は約58.9万円から約88.5万円へ増えます。一方、その間に返す元金は約123.2万円から約111.2万円へ減ります。この両方を合わせた結果が、年間返済額約17.5万円の増加です。
利息だけを見る数字と、口座から出ていく返済額を見る数字を分けると、混乱しにくくなります。
返済の増加分を税引前の手残りに反映する
次に、普段使っている物件の収支表に戻ります。家賃収入と、管理料、修繕などの現金支出を同じにして、年間の元利返済額だけを入れ替えます。
例えば、年2%の条件で年間の税引前手残りが60万円だったという架空の設定なら、年3%では約42.5万円、年4%では約24.0万円になります。ここでいう税引前手残りは、家賃収入から運営上の現金支出と元利返済などを引いた後、所得税・住民税の影響を反映する前の金額です。
これは税引後の手残りではありません。元金返済は現金を減らしますが、税務上の必要経費にはなりません。利息と元金の内訳も変わるため、税金への影響は別に確認します。
現金収支と税額の分け方は、「家賃収入・返済・減価償却から『本当の手残り』を計算する方法」に整理しています。
金利が上がっても続けられるかを考える
私も以前、「どこまで金利が上がると耐えられなくなるか」を試算したことがあります。かなり上昇しても対応できる結果でしたので、そのときは安心した記憶があります。
今後、条件が不利になれば、繰上返済で対応することも考えています。これは今後の意向で、実施した経験ではありません。過去の試算が今の安全性を保証するわけではないため、残高や家賃、使える現金が変われば、改めて確認する必要があると思います。
金利だけの影響が分かったら、次に空室や修繕が重なる場合を考えます。最初からすべての条件を同時に変えるより、何が収支を圧迫しているのかを把握しやすくなります。
年間の手残りがプラスでも、修繕費の支払いが先に来れば、口座の現金が足りなくなることはあります。年間収支に加え、支払いが集中する月と、そのときに使える物件用の現金も確認しておきたいと思います。
勤務を減らす予定があるなら、給与で補える前提も見直します。物件の不足分を補うために、減らしたはずの勤務を戻す必要がないか。その視点も大切ではないでしょうか。
まずは現在の条件と、金利を1ポイント上げた条件を一度並べてみる。分からない項目があれば、金融機関に「いつ金利と返済額が変わるか」「変更後の返済予定表を出してもらえるか」を確認する。そこから始めればよいと思います。
この試算だけで購入や借換えを決めることはできません。購入後の現金や判断全体は、「勤務医が不動産投資を始める前に確認すべき数字」も参考にしてください。
資料確認日 2026年10月6日


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