不動産投資では、大きな金額の借入をすることがあります。
私も2棟目の物件を購入するとき、約1.5億円の借入をすることになりました。
「1.5億円も借りて、怖くなかったのですか?」
そう聞かれることがありますが、答えは少し複雑です。
最初から借入額そのものに驚いたわけではありません。不動産投資をすると決めた時点で、融資を使って投資規模を大きくすることは理解していましたし、可能な範囲で大きく投資するつもりでいました。むしろ当初は、2億円程度の物件まで想定していたほどです。
それでも、契約が現実味を帯びてきたある時期、私は急に怖くなりました。
「もし失敗したら、自分だけではなく家族まで巻き込むのではないか」
そこから1週間ほど、本気で迷うことになります。
最初に見たのは「借入額」ではなく「物件」
約1.5億円の物件を紹介されて、最初に確認したのは「この物件は大丈夫なのか」ということでした。
実際に現地まで見に行き、立地や建物の状態を自分の目で確認しました。
もちろん、私は不動産の専門家ではありません。建物を見ただけで構造上の問題まで判断できるわけではありません。
それでも、外壁の状態、基礎部分に大きな傾きがないか、階段の裏に強いサビが出ていないかなど、自分で見られる範囲は自分の目で見ておくことにしています。
周囲の環境を実際に歩いてみることも大切だと思っています。
「ここなら人が住みそうだ」
「建物にも大きな違和感はない」
そうした大まかな肌感覚を、自分自身で持っておくことが必要だと感じています。
一方で、物件そのものの選定については、仕入れを行った不動産会社の目も信頼しています。
自分ですべてを判断できるわけではないからこそ、自分で確認する部分と、人に任せる部分を分けるようにしています。
何度もキャッシュフローを計算した
物件を確認したあとは、収支を計算しました。
毎月いくら家賃が入り、返済や管理費などを引いたあとに、どれくらい手元に残るのか。
さらに、あえて条件を悪くして考えてみました。
- 家賃が下がったらどうなるか
- 何室か空室になったらどうなるか
- 金利が上昇したらどうなるか
それでもキャッシュフローが黒字で回るのかを、繰り返しシミュレーションしました。
私が重視していたのは、表面上の利回りよりも「多少条件が悪化しても、この物件を持ち続けられるか」ということでした。
計算上は、問題なく回ると判断できました。
ところが、そこまで確認したあとになって、強い不安が出てきました。
「家族まで巻き込むかもしれない」と怖くなった
きっかけの一つは、金利上昇に関する動画や記事でした。
当時は長期金利が上昇する局面でもあり、「金利上昇で不動産投資は厳しくなる」といった情報をよく目にしていました。
さらに、仕事を通じて、不動産投資の失敗による借金が、本人だけでなく家族にも長く影響した事例を知る機会がありました。
それを知ったとき、自分が今からしようとしていることが、急に現実味を持って迫ってきました。
「もし自分も失敗したらどうなるのか」
「自分の人生だけではなく、家族にまで迷惑をかけるのではないか」
そこから1週間ほど、「本当に不動産投資をすることが正しいのか」と悩み続けました。
最後に戻ったのは、やはり数字だった
それでも最終的に購入を決めた理由は、特別な出来事があったからではありません。
もう一度、数字を確認したからです。
金利が上がっても収支は回る。
多少空室が出ても耐えられる。
そしてもう一つ重要だったのが、購入後に手元に残る現金でした。
私は、物件を購入したあとにも「突発的な大規模修繕や不測の出費があっても大丈夫」と思えるだけの資金を残すようにしています。
購入直後には現金が減っても、給与から毎年どれくらい貯蓄できるか、新しい物件からどれくらいキャッシュフローが入るかを加えて、半年後、1年後までを簡単にシミュレーションしました。
その結果、
「一時的には現金が減る。ただし、十分立て直せる」
と判断できました。
加えて、今回は2棟目でした。
1棟目が実際に問題なく運営でき、家賃収入が入り、収益が積み上がっているという事実も、大きな安心材料になりました。
金消契約をする頃には、不思議なほど不安はなくなっていました。
半年運営して感じる「借金」への変化
購入してからまだ半年ほどですが、現時点では収支は当初想定より上振れしています。
ただし、これは満室引渡し直後という条件も影響していると思っています。今後は退去や修繕も出てくるはずです。
実際、先日も1部屋の退去連絡がありました。
退去の連絡を受ければ、今でもがっかりします。
ただ、それが「不動産投資に失敗するかもしれない」という恐怖にはつながらなくなりました。
退去は起こるものとして、原状回復をし、募集をかけ、次の入居者を探す。
管理会社が実務を進めてくれるので、私は内容を確認し、承認し、必要な費用を払う。
それを淡々と続けるだけです。
そして今は、約1.5億円の借入を「大きな借金」とだけ見る感覚も、少し変わってきました。
借入を使うことで、自己資金だけでは得られない規模の収益を生み出せる。いわゆるレバレッジの効果です。
もちろん、これは現時点での結果にすぎません。
一方で、レバレッジは逆方向にも働きます。
だからこそ、収支を管理し、現金を残し、悪条件にも耐えられる状態を維持しなければなりません。
最近になって、ようやく「これが不動産を経営するということなのか」と感じるようになりました。
今なら、何を基準に判断するか
今もう一度、同じ条件の物件を提示されたとしても、判断基準は大きく変わりません。
見るのは3つです。
1つ目は、物件そのものが大丈夫か。
2つ目は、条件が悪化してもキャッシュフローが回るか。
3つ目は、購入後にも十分な現金が手元に残るか。
逆に、このどれかに納得できなければ買いません。
立地が極端に悪い。
建物に明らかな問題がある。
土地としての出口が見えない。
キャッシュフローが少し条件を悪くしただけで赤字になる。
あるいは、購入後に不測の出費へ対応できるだけの手元資金を確保できない。
その場合は、撤退します。
約1.5億円という数字だけを見れば、今でも大きな金額だと思います。
ただ、私が最終的に判断したのは「1.5億円を借りても怖くないか」ではありませんでした。
この物件は持ち続けられるのか。
悪いことが起きても耐えられるのか。
そして、そのリスクを自分で管理できるのか。
そこまで確認したうえで、「これは取れるリスクだ」と判断しました。
不動産投資を始めてから、借金に対する恐怖がなくなったわけではありません。
むしろ、怖さを感じるからこそ、最後は何度でも数字に戻る。
「怖いからやめる」のでも、「大丈夫だろうと勢いで進む」のでもなく、悪い条件まで考えたうえで、自分が取れるリスクなのかを判断する。
今のところ、それが私なりの、大きな借入との付き合い方になっています。


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