不動産投資に興味を持ったのは、40代前半の頃でした。
投資家が書いた本を読んだり、不動産投資について調べたりすることはありましたが、当時はまだ「いつかできれば」という程度だったと思います。
実際に一棟アパートを買おうと思い、不動産会社を訪ねたのは46歳の頃でした。
そこで私は、一度かなりはっきりと現実を突きつけられることになります。
「年収と自己資金を増やしてから来てください」
最初に訪問した不動産会社では、社長と面談しました。
自分の勤務状況、年収、資産状況について、聞かれたことをそのまま正直に伝えました。
すると社長からは、
「年収と自己資金がもう少し増えてから来てください」
という趣旨のことを言われました。
当時の私は、それほど「医師だから簡単に融資が受けられる」と安易に考えていたわけではありません。
それでも心のどこかには、
「医師なら、ある程度は話が進むのではないか」
という期待があったのだと思います。
ところが、実際には入口にも立てないような感覚でした。
「今の自分では相手にされないのだな」
と苦い気持ちになったことを、今でも覚えています。多少ショックもあり、帰って妻にもその話をしました。
そしてこの出来事は、自分が資産形成という面ではかなり出遅れていることを、強く自覚するきっかけにもなりました。
一度、不動産への興味は薄れた
その後、私はいったん一棟アパートへの投資を諦めました。
「絶対にいつか買おう」と強く思い続けていたわけではありません。むしろ、一度かなり興味が薄れています。
そのとき自分にできることから始めようと考え、小規模なトランクルーム投資や積立投資を始めました。これらは比較的順調でした。
そのまま小規模な投資を積み上げていく道もあったと思います。
ただ一方で、私は何かがある程度軌道に乗ると、自然に「次はどうするか」を考えるところがあります。
投資を続けながら収入や資産が少しずつ増えてくるにつれて、再び不動産投資への関心が戻ってきました。
不動産についての情報収集を完全にやめていたわけでもなく、いつの間にか、再び不動産について調べる時間が増えていきました。
数年間かけて、本当に「年収と貯金」を増やした
46歳のときに言われた「年収と自己資金を増やす」という言葉には、その後かなり忠実に取り組みました。
当時は平日に研究をしながら、週末には医師としてアルバイトをして収入を増やしました。その後、臨床医として働くことへの手応えも強くなり、本格的に臨床へ戻りました。
同時に、トランクルームや積立投資などを続け、数年間かけて資産も積み上げていきました。
つまり、特別な裏技を使ったわけではありません。
収入を増やし、支出を管理し、余剰資金を投資へ回す。
振り返れば、かなり地味なことを繰り返しただけです。
しかし、その積み重ねによって、51歳頃には46歳のときとは明らかに状況が変わっていました。
46歳と51歳では、不動産会社での自分の立ち位置が違った
51歳で再び一棟アパートへの投資を考えたとき、複数の不動産会社を訪問しました。
46歳のときとは、自分の感覚がかなり違っていました。
46歳の頃は、自分自身にもまだ現実感がありませんでした。
面談でも相手の雰囲気に圧倒され、「自分の方が格下である」ような感覚さえ持っていたと思います。
今振り返ると、それは単に相手の問題ではなく、自分自身に準備ができていなかったことが大きかったのでしょう。
一方、51歳のときには、
「今回は不動産投資を始められる」
という確信がありました。
収入も資産も数年前とは違いますし、それまでに複数の投資も経験していました。
そのため、不動産会社との面談でも「買わせてもらう」という感覚ではなく、相手と対等に話せるようになっていました。
これは私の中では、とても大きな変化でした。
物件だけでなく「誰と組むか」を考えるようになった
再挑戦したときも、最初から現在の不動産会社に決めていたわけではありません。
ある会社では若い担当者と話し、実際に物件へエントリーするところまで進みました。
ただ、話がかなり事務的に進み、私が投資方針について質問しても、十分に納得できる回答が得られませんでした。
何となく違和感があり、途中でキャンセルしました。
その後、現在お世話になっている不動産会社の社長と面談しました。
決定的な一言があったわけではありません。
ただ、私の経歴や資産状況をきちんと聞いたうえで、投資が可能かどうかについて具体的に話してくれました。私の質問にも一つずつ答えてくれましたし、無理に物件を勧めることもありませんでした。
さらに、
「まず資産を整理して、現金を準備しておいた方がいい」
という具体的なアドバイスも受けました。
その後のメールでのやり取りもスムーズでした。
そうした小さな積み重ねから、「この人とは腹を割って話せそうだ」「自分とは相性が良さそうだ」と感じるようになりました。
不動産投資では物件そのものも重要ですが、振り返ると、誰と組むかもそれと同じくらい大切だったと思います。
最後は「怖くない」のではなく、数字で納得した
52歳で1棟目の物件を紹介されたとき、物件そのものには大きな恐怖感はありませんでした。
ただ、金融機関から融資条件が提示されたとき、想定していた以上の自己資金が必要だと分かり、瞬間的に怖くなったことは覚えています。
大きなお金を動かす以上、これは当然だったと思います。
そこで最後は、感覚ではなく数字で確認することにしました。
税引き前のキャッシュフロー、税引き後のキャッシュフロー、IRRなどを、自分なりに一つずつ計算しました。
そのうえで、
「この条件なら進めてよい」
と自分自身で納得できたため、購入を決めました。
医師だから買えたのではなく、準備したから買えた
振り返ってみると、私が1棟目を購入できた最大の理由は、結局とても単純だったと思います。
収入と資産を増やし、不動産投資をできる状態まで準備したことです。
46歳の私は、医師という職業ではありましたが、不動産投資家としての準備はできていませんでした。
数年間かけて条件を整えたことで、51歳には不動産会社と対等に話し、自分で会社を選び、自分で数字を確認したうえで判断できるようになりました。
不動産投資は、誰もが必ずやるべき投資だとは思っていません。
資産形成の方法は他にもありますし、条件によっては不動産に参入する必要すらないでしょう。
ただ、もし一棟アパートへの投資を考えるのであれば、最初から物件探しに走るよりも先に、
「自分は本当に不動産投資をできる状態なのか」
を確認することが大切だと思います。
私の場合、その準備には数年かかりました。
一度断られた46歳のときには遠回りに感じましたが、今振り返ると、その時間があったからこそ、52歳で納得して1棟目を購入できたのだと思っています。


コメント