40代半ばになった頃、私は「この先もずっと、給与だけに生活を依存していてよいのだろうか」と考えるようになりました。
そして46歳頃から、資産形成の一つの選択肢として不動産投資に興味を持つようになりました。
ただ、実際に一棟アパートを購入したのは52歳です。
本当はもっと早く始めたかったのですが、40代の頃は年収も自己資金も十分ではなく、一棟アパートに手が届く状態ではありませんでした。その後、働き方を変えて本業の収入を増やし、自己資金もある程度準備できた頃には、すでに50代に入っていました。
結果として52歳からのスタートになりましたが、今振り返っても「遅すぎた」とは思っていません。
ただし、50代から始める場合、若い人と同じ条件ではないことも事実です。
私が不動産投資に惹かれた理由
株や投資信託で資産を増やしても、生活費として使えば当然減っていきます。
資産が増えても、「使えば減る」という感覚は残るのではないか。私はそう考えていました。
一方、不動産では毎月家賃が入ってきます。
もちろん、空室や修繕などのリスクはあります。それでも、うまく運営できれば給与のように継続して収入が入ってくる。この点が、私にとって非常に魅力的でした。
私が最終的に作りたいのは、資産額が大きい状態そのものではありません。
「生活が給与に依存しない状態」です。
医師の仕事を辞めたいわけではなく、体が続く限り医師として働きたいと思っています。
ただ、「働かなければ生活できない」という状態には、どうしてもプレッシャーがつきまといます。
医師をしてもしなくても生活に問題がない状態を作る。
そのためには、給与に近い形で定期的な収入が得られる不動産が、私の考え方によく合っていました。
50代になると融資面では不利になる
50代から始めることにデメリットがないわけではありません。
特に大きいのが融資期間です。
金融機関によっては完済時の年齢に上限があるため、年齢が上がるほど融資期間を長く取りにくくなる場合があります。
融資期間が短くなれば毎月の返済額は増えます。その結果、金融機関から求められる自己資金も多くなることがあります。
私が1棟目を購入した時も、当初想定していた以上の自己資金を求められました。
提示された条件を見た瞬間は、正直ひるみました。
「ここまで現金を入れて、本当に投資する価値があるのか」
そう思ったからです。
そこで改めて、キャッシュフローや税引後の手残り、投資効率を計算し直しました。
その結果、自己資金を多く入れても最終的な手残りは十分にあり、投資として成立すると判断できました。
不安を感覚のまま抱えるのではなく、できる範囲で数字に置き換えて判断する。
これは50代から投資を始めるうえで、特に重要だと思っています。
自己資金が多いことは、悪い面だけではない
自己資金が多く必要になることは、規模を早く拡大したい人にとってはデメリットです。
同じ現金があれば、自己資金を少なくして複数の物件を買う方が、資産拡大のスピードは速くなります。
一方で、自己資金を多く入れれば借入額は減り、毎月の返済負担も軽くなります。結果として、収支にも余裕が出ます。
50代から始める私にとって、これは必ずしも悪いことではありませんでした。
50代から始める以上、私は資産拡大のスピードだけを追うよりも、無理のない返済と安定した収支を重視したいと考えています。
レバレッジを最大限に使って急速に規模を広げるよりも、多少余裕を持った状態で運営する方が、自分には合っています。
融資が出ることと、買ってよい物件であることは別
ここは非常に重要だと思っています。
金融機関から融資が出たからといって、その物件を買うべきとは限りません。
順番としては、まず物件です。
- 家賃が相場より高く設定されていないか
- 多少家賃が下落しても収支が合うか
- 金利が上昇しても吸収できるか
- 何室か空室になっても赤字にならないか
- 税引き前のキャッシュフローがきちんと残るか
さらに、建物の状態や将来の修繕、土地の形、売却や建て替えといった出口まで含めて確認します。
こうした条件を見て、「保守的に考えても収益が残る」と判断できた物件について、初めて融資の相談に進む。
融資の可否は金融機関が判断しますが、物件を買うかどうかを決めるのは自分です。
この2つは分けて考える必要があります。
40代でできなかったなら、50代からでもよい
私は40代の頃から一棟アパートを買いたいと思っていました。
しかし、その時点では条件が整っていませんでした。
だからといって、何もしていなかったわけではありません。
本業の所得を上げ、自己資金を準備し、自分に合う不動産会社を探しました。
その結果、実際に投資できる状態になったのが50代だった、というだけです。
私は「50代だから有利」とは思いません。むしろ融資面だけを考えれば、若い方が有利な場面は多いでしょう。
ただ、40代では条件が整わず、50代になってようやく条件が整う人もいます。
その場合、年齢だけを理由に諦める必要はないと思います。
明確な「遅すぎる年齢」があるというより、年収、金融資産、勤務状況、居住地、家族構成などによって状況は大きく変わります。
本気で検討するのであれば、複数の不動産会社に話を聞き、自分の条件でどのような投資や融資が可能なのかを確認してみる。
実際に動いてみなければ分からないことも多いからです。
50代で大切なのは「何歳か」より「成立するか」
52歳で1棟目を購入してから、毎月家賃収入が入るようになり、給与以外の所得が増えました。
税金を含めた資金の流れも変わり、次の投資に回せる選択肢も広がりました。
不動産を追加取得することもできますし、融資条件が合わなければ、増えた余剰資金をインデックス投資へ回すこともできます。
今のところ、50代から始めたことを後悔してはいません。
「何歳から始めるか」以上に大切なのは、「今の自分の条件で投資として成立するか」だと思います。
なぜ不動産を持ちたいのか。
その物件は本当に収益を生むのか。
融資条件を含めても収支は成立するのか。
購入後にも十分な現金を残せるのか。
そして、自分が目指す人生や働き方に合っているのか。
それらを一つずつ確認して成立するのであれば、50代からでも検討する価値はある。
少なくとも私は、そう考えて52歳から不動産投資を始めました。


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