税の繰延べでも意味がある?私が減価償却を活用する理由

前の記事では、不動産の減価償却には「節税」だけでなく、「税の繰延べ」という側面があることを書きました。

今の税負担を軽くできても、将来売却するときには、その分が譲渡所得の計算に影響する可能性があります。

この点だけを見ると、

「結局、後で税金を払うなら意味がないのではないか」

と思うかもしれません。

実際、私も不動産投資を調べる中で、この点についてはかなり考えました。

ただ、私は今では、税の繰延べには大きな意味があると考えています。

理由はシンプルです。今手元にあるお金と、将来手元にあるお金は、同じ価値ではないからです。

「後で払うなら同じ」ではない

不動産投資について調べ始めた頃、減価償却によって所得税や住民税の負担を抑えられることを知り、大きなメリットだと感じました。

一方で、調べていくうちに、将来売却するときには減価償却した分が取得費に影響し、結果として譲渡所得が大きくなる可能性があることも知りました。

「やはり、メリットだけではないのだな」と納得した記憶があります。

ただ、その時に同時に考えたのが、それでも今手元にお金が残ることには大きな意味があるのではないか、ということでした。

株式投資などを学ぶ中で、私は以前から「今のお金には時間価値がある」という考え方に触れていました。

今手元にあるお金は、投資して増やすこともできます。一方、将来受け取るお金は、その間使うことができません。

そう考えると、税金を将来へずらし、その分の現金を今手元に残すこと自体に価値があります。

私の場合、次の物件取得を早める力になった

この考え方は、実際に不動産投資を始めてから、よりはっきりと実感するようになりました。

1棟目を取得した後、減価償却による税還付がありました。同時に、本業からの収入も貯めていきました。

もし税還付がなければ、次の物件を購入するための自己資金を作るには、かなり長い時間が必要だったと思います。

しかし、税金として出ていくはずだったお金が手元に残ることで、現金が貯まるスピードは大きく変わりました。その結果、2棟目の取得時期を数年単位で前倒しできた可能性があります。

これは、私にとって非常に大きな意味がありました。

2棟目を取得すれば、家賃から得られるキャッシュフローも増えます。さらに、減価償却できる資産も増えるため、次の自己資金を作るスピードも速くなる可能性があります。

つまり、手元に残った資金を次の資産へ回し、その資産がさらにキャッシュフローを生む、という循環が生まれます。

私は、この状態を不動産投資における一つの「複利」だと考えています。

税の繰延べは「時間を買う仕組み」

こうして考えると、私にとって税の繰延べは、単に支払いを先送りする仕組みではありません。

むしろ、資産形成の目標達成を前倒しするためのブースターという感覚に近いです。

私が目指しているのは、不動産から得られるキャッシュフローで生活費をまかなえる状態を作ることです。

そこまで到達できれば、「生活のために働く」状態から、「やりたいから仕事をする」状態に近づけます。

逆説的ですが、将来お金のことをあまり考えずに済む状態を作るために、今はお金ができるだけ効率よく回る仕組みを作る。そのために、税の繰延べを活用しています。

そして、私の中にはもう一つ大きな考えがあります。

同じ税金を払うなら、資産形成の途中ではなく、資産が育った後の自分に払ってもらえばよい、という考え方です。

資産形成の途中では、手元資金の一部が次の投資機会につながります。この時期に大きな金額が税金として出ていけば、それだけ次の一手が遅くなります。

一方で、不動産から十分なキャッシュフローが生まれ、生活費をまかなえる状態まで到達していれば、同じ税金を払うとしても負担感は大きく違います。

目的は、一生税金を払わないことではありません。

資産形成の途中ではできるだけ資金を残し、資産が育った後は適切に税金を払う。

私は、この考え方でよいと思っています。

長期保有を考えていることも大きい

私が不動産投資をする主な目的は、売却益ではなくキャッシュフローです。そのため、基本的にはできるだけ長期間保有したいと考えています。

将来、建物が古くなれば建て替える可能性もありますし、家族へ引き継ぐことも選択肢です。つまり、「数年後に必ず売却して税金を払う」という前提では考えていません。

長く保有できれば、税の支払いを先へ延ばしながら、その間に家賃収入を受け取り、資産全体を大きくしていく時間を持つことができます。

もちろん、物件価格が大きく上がるなど、売却した方がよい状況になれば売ることもあると思います。

長期保有を基本にしながら、状況によっては売却も選ぶ。選択肢を持てること自体にも価値があります。

ただし、税還付を目的に物件を買わない

ここまで書くと、減価償却をできるだけ大きく取れる物件を買えばよいように見えるかもしれません。

しかし、私はそうは考えていません。最も重視しているのは、あくまでキャッシュフローです。

家賃が入り、返済や経費を支払っても現金が残る。修繕費も支払える。空室や予想外の支出があっても運営を続けられる。

この土台があって初めて、減価償却による税の繰延べが意味を持つと思っています。

税金を減らすために無理な投資をして、手元資金がなくなってしまえば本末転倒です。

不動産投資をするということは、大家になるということでもあります。必要な修繕を行い、入居者に適切な住環境を提供する責任があります。

その責任を果たせないほど余裕のない投資をするべきではないと思っています。

減価償却は目的ではなく、加速装置

私にとって、減価償却は不動産投資の目的ではありません。

目的は、不動産から安定したキャッシュフローを作り、将来の働き方の選択肢を増やすことです。

その途中で、減価償却による税の繰延べを使い、今手元に残ったお金を次の資産形成へ回す。

この仕組みを繰り返すことで、目標への到達時期を早める。

だから私は、「税の繰延べだから意味がない」とは考えていません。

むしろ、本業収入が高く、支払っている税金も大きい時期だからこそ、繰延べによって今使える資金を残す意味は大きいと考えています。

減価償却は、税金をなくす魔法ではありません。

私にとっては、将来の自由を少し早く手に入れるための、資産形成の加速装置なのだと思っています。

前の記事

不動産の減価償却は本当に節税なのか?「税の繰延べ」を考える

コメント

タイトルとURLをコピーしました