私は将来、非常勤を中心に働くことも選択肢の一つとして考えています。それでも、今は週5日の常勤勤務を続けています。
なぜ、勤務を減らす可能性を考えながら、今は常勤を続けているのか。理由は単純で、私にとって50代は、働き方を縮小する時期ではなく、資産形成を進める時期だからです。
一方で、医師の仕事を早く辞めたいわけではありません。むしろ、できるだけ長く医師として働きたいと思っています。
「いつ辞めるか」より「どうすれば長く続けられるか」
医師は、年齢だけを理由に仕事をやめなければならない職業ではありません。資格と経験があれば、働き方を変えながら長く続けられます。私は、これを医師という職業の大きな利点だと思っています。
また、仕事は収入を得るためだけのものでもありません。社会との接点を持てること。誰かの役に立っていると感じられること。必要とされていると感じられること。こうしたことは、幸福感や健康を考えるうえでも大切です。
そのため、「何歳で辞めるか」よりも、「どのような形なら無理なく長く働けるか」を考えるようになりました。その選択肢の一つが、非常勤という働き方です。
非常勤は、医師を長く続けるための選択肢
常勤として責任ある立場で働くことには、大きなやりがいがあります。ただ、年齢を重ねれば、体力や生活とのバランスは変わっていくはずです。勤務日数を減らしたり、重い役割を少しずつ手放したりできれば、医師としてより長く働き続けやすくなるかもしれません。
私の場合、当直は常勤勤務そのものより先に手放す可能性が高いと考えています。生活リズムへの影響が大きく、年齢とともに身体への負担も無視できなくなるからです。ただし、何歳でやめると決めているわけではありません。そのときの体力や勤務状況を見て判断するつもりです。
当直を減らす際の家計面の確認は、「勤務医が当直をやめる判断基準|減る年収を何で埋めるか」にまとめています。
非常勤の利点は、身軽なことです。開業には初期費用や固定費がかかり、スタッフを雇えば責任も生じます。非常勤であれば大きな初期投資は不要で、勤務日数も調整しやすい。「できる範囲で長く医師を続ける」という目的に合っていると思います。
もちろん、実際に移る段階では、求人の状況、給与水準、社会保険なども確認が必要です。また、非常勤だけを考えているわけではなく、小規模な開業や自分で行う事業も候補に入れています。
常勤先の変更や定期非常勤を比べるときに確認したい条件は、「勤務医が転職・非常勤を考えるときの判断基準」にまとめています。
なぜ今は勤務を減らさないのか
現時点では、体力面でも仕事の面でも、まだ十分に責任ある役割を担えると感じています。責任ある立場で働けるうちは、その役割を果たしたいという思いもあります。それと同時に、経済的には今のうちに資産形成を進めておきたいと考えています。
私の場合、資産形成の中心は不動産です。不動産を増やすには銀行融資を使う場面があり、勤務医として安定した給与収入があることは、信用力の面でも大きいと考えています。
もちろん、融資を使った資産形成にはリスクがあります。借りられるから増やす、という考えではありません。ただ、給与収入と信用力を活用できる時期に資産形成を進め、その後の選択肢を増やしておく考え方は、自分に合っています。
今、収入を減らしたくないのは、生活に不安があるからではありません。資産形成の途中なので、その速度をあえて落とす理由がないからです。勤務量を減らすのは、もう少し後でもできます。だから私は、50代の間は現在の働き方で進められるところまで進みたいと思っています。
非常勤を考えるなら、まず生活費を知る
将来、非常勤への移行を考えるとき、最初に確認するのは生活費です。年間いくら使っているかが分からなければ、どこまで勤務を減らせるかも分かりません。
私は、家計管理サービスにカードや銀行口座を連携し、毎月・毎年の支出を確認できるようにしておくのがよいと思っています。移行の直前ではなく、普段から把握しておくことが大切です。
そのうえで確認するのが、給与以外の収入です。私が一つの目安にしているのは、
給与以外の手残り収入が生活費を上回っている状態
です。手残り収入とは、税金や必要経費、ローン返済などを差し引いたあと、実際に生活へ回せるお金のことです。
ただし、この水準に届かなければ移れないわけではありません。考え方としては、
生活費 − 非給与収入 = 医師として稼ぐ必要がある金額
です。非給与収入だけでは少し足りないのであれば、不足分を非常勤勤務で補えばよい。「給与をゼロにできるか」ではなく、「あとどれだけ医師として働けばよいか」と考える方が、選択肢は広がります。
50代と60代では、役割を変えていく
私は、「ある金額を達成したら資産形成は完成」とは考えていません。むしろ時間軸で考えています。50代は資産形成を進める時期。60代は、その結果を受けて次のステージへ進む時期です。
60代の理想の働き方は、まだ決めていません。今は、医師として週2〜3日非常勤で働き、残りを小規模な開業や事業に使う形もイメージしています。ただ、体力、意欲、資産状況、事業の状況によって、心地よい時間配分は変わるはずです。
できるだけ長く医師として働きたい。だからこそ、ずっと同じ働き方を続ける必要はないとも思っています。50代は現在の収入と信用力を活かして資産形成を進め、60代は、その結果を見ながら、生活のために働く比重を少しずつ下げていく。
もし将来、勤務日数を減らしたいと考えているなら、まずは「自分が1年間でいくら使っているのか」を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。常勤を辞めるかどうかを考える前に、自分がどれだけ働く必要があるのかを知る。働き方を変える準備は、そこから始まるのだと思います。


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