資産形成を始めた当初から、短期トレードをしていたわけではありません。
最初に取り組んだのは、インデックス投資とトランクルーム投資でした。当時は研究をメインにしながら、臨床のアルバイトもしている時期です。資産形成について調べながら、自分にできそうなことを一つずつ始めていました。
インデックス投資を始め、トランクルームにも投資し、しばらくすると「最初に考えていたことは、ある程度やった」という感覚になりました。
そこで次に頭に浮かんだのが、
「もっと大きく資産を増やす方法はないだろうか」
という問いでした。
「月利10%」を目指して短期トレードを始めた
インターネットで投資について調べるうちに、ある投資コミュニティに参加しました。
そこで紹介されていたのが、スワップを狙ったFXの積み立てと、スイングトレードです。FXの積み立ては、最初に計画を立てれば、あとはその通りに続けるものでした。
一方、短期トレードについては、「大きく稼ぐためにはトレード技術が必要」という考え方が示されていました。
そのコミュニティでは、「技術を身につければ月利10%も不可能ではない」という説明がされていました。実際に大きな利益を出しているように見える人もいました。
私も、トレードを身につければもっと早く資産を増やせるはずだと考えました。
月利10%を達成できるようになりたい。
当時はかなり真剣にそう思っていました。
3年間、かなり本気で勉強した
実際にトレードを始めると、なかなか思うようにはいきませんでした。
そこで別のトレードコミュニティにも参加しました。2つ目のコミュニティでは、トレード理論がかなり体系的に整理されていて、勉強になった部分も多くありました。
理論を理解し、感情に左右されず、決めたルール通りに取引できるようになれば、いずれ勝てるようになる。
そう考えていました。
短期トレードに取り組んだ期間は、合計するとおよそ3年です。少し試してやめたわけではなく、それなりの時間を使い、かなり真剣に取り組みました。
それでも、自分で実際にトレードすると、上手くいったり上手くいかなかったりを繰り返しました。
エントリーすると、自分の予想とは反対方向に動く。損切りすると、今度は逆方向に戻る。買っても売っても上手くいかないような感覚が続きました。
もちろん、実際には私が相場の動きを敏感に捉えすぎていた部分もあったと思います。
小さなロットで何度も練習しましたが、「上達している」という感覚をなかなか得られませんでした。
仕事中でもチャートが気になった
短期トレードで想像以上だったのは、単純な作業時間だけではありません。
一度ポジションを持つと、相場のことが頭から離れにくくなりました。
仕事中でもトレードのことを考えてしまう。少し休憩時間ができるとスマートフォンでチャートを見る。ときには、チャートを確認するためにわざわざトイレに入ることもありました。
何か大きなニュースが出ると、「相場はどうなっただろう」とすぐに気になります。
短期トレードには、銘柄を選び、エントリーするタイミングを考え、その後の値動きを確認し、決済を判断するという作業があります。
それ以上に、常に注意力の一部を相場に持っていかれる感覚がありました。
ただし、労力がかかるから短期トレードは悪いとは思っていませんでした。
大きな利益が出るのであれば、それだけの労力を使う価値はあると考えていたからです。
問題は、私の場合、その労力に見合う利益が残らなかったことでした。
3年間の成績を振り返ると、ほぼトントンだった
転機になったのは、不動産投資が現実的な選択肢として見えてきた頃です。
その段階で、一度これまでの投資成績を冷静に振り返ってみました。
すると、短期トレードは多くの取引を合計しても、ほぼトントンでした。
3年ほど勉強し、2つのコミュニティに入り、かなりの時間と労力を使ってきたにもかかわらず、期待していた収益は残っていませんでした。
その一方で、ほとんど手をかけていなかったトランクルーム、FXの積み立て、インデックス投資は、結果として利益を積み上げていました。
ここで初めて、労力と利益が完全に非対称になっていることに気づきました。
少なくとも自分の投資については、「どれだけ努力したか」よりも、「実際にどれだけ結果が残ったか」で評価した方がいい。
この時、そう実感しました。
私の場合、短期トレードに使った時間と得られた利益を比べると、アルバイトをした方がはるかに確実に収入を得られる状態でした。
もちろん、トレード技術が上達し、将来的に取引金額を増やすことで本業の時給を上回る利益が期待できるのであれば、続ける価値はあったと思います。
しかし私の場合、その見通しを持てませんでした。
そこで短期トレードから撤退することにしました。
不動産投資を前に、現金を減らさないことを優先した
完全に短期トレードをやめられた理由は、不動産投資が現実的に視野に入ったことでした。
不動産を購入するには自己資金が必要です。
そのため、トランクルームを売却し、FXの積み立ても利益確定しました。積み立てNISAも売却し、現金を確保しました。
この時から、お金に対する私の考え方が変わりました。
それまでは、「どうすれば早く増やせるか」を考えていました。
しかし不動産投資を始める段階では、「次の投資機会のために必要な現金を減らさない」ことの重要性が高くなりました。
資産を増やすことだけではなく、次の選択肢を取れる状態を維持することも重要だと考えるようになったのです。
現在も、次の物件を購入するための自己資金を確保することを優先しています。
短期トレードは、私にとって「仕事」に近かった
短期トレードそのものを否定するつもりはありません。
上手な人が取り組めば、資金を大きく増やせる可能性はあると思っています。
私自身、真剣に取り組んだことを後悔していません。実際にやってみなければ、自分に向いているかどうかも分からなかったからです。
ただ、今振り返ると、短期トレードは私にとって「投資」というより「仕事」に近いものでした。
時間を使い、勉強し、相場を確認し、判断を繰り返す。
そこまで労力をかけるのであれば、その労力に見合う利益が残っているかを定期的に確認した方がいいと思います。
特に勤務医は、本業そのものにも一定の収入があります。
投資に使う時間だけではなく、注意力や精神的な負担まで含めて考えたとき、その方法を続ける価値があるのか。
これは冷静に振り返る必要があります。
私の場合、答えは「続けない」でした。
それは、短期トレードが悪いからではありません。
3年間真剣に取り組んだ結果、「これは自分が利益を残せる方法ではない」と判断したからです。
資産形成では、一つの方法にこだわる必要はないと思います。
実際にやってみて、一定期間が経ったら結果を振り返る。期待した成果が出ていなければ、資金や時間の使い方を変える。
私の場合、それが短期トレードから不動産投資への転換でした。
今の私は、何を始めるかだけではなく、何をやめるかを判断することも、資産形成では重要だと考えています。


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