不動産投資に関心はあっても、不動産会社に相談するのは少し緊張するのではないでしょうか。
私も、初めて訪問するときはそうでした。自分に物件を買えるのか分からないうえに、営業の方と何を話せばよいのかも、よく分かっていませんでした。
その後、複数の会社と面談し、52歳で初めて1棟のアパートを購入しました。
振り返ってみると、購入先を決めた理由は、物件の価格や利回りだけではありませんでした。
自分が考えていた投資方針を共有でき、その進め方について納得できる説明を受けられたこと。 これが、私にとって大きな決め手になりました。
この記事では、面談から購入までの経験をもとに、不動産会社を選ぶ際に何を重視したのかをお伝えします。
なお、現在お世話になっている会社から、記事掲載や顧客紹介に関する報酬・割引は受けていません。
46歳のとき、準備不足を指摘された
46歳の頃、不動産会社を訪問した際、社長が直接面談してくれました。
当時は、自己資金が十分ではないことには薄々気づいていました。それでも、医師として働いていれば融資を受けられて、1棟の物件を購入できるかもしれないという期待がありました。
年収や金融資産、家族構成などを伝えると、社長からはっきりと言われました。
「もう少し年収が上がって、金融資産がしっかり貯まってから来てください」
予想していたことではありましたが、実際に言われると少し落ち込みました。
同じ頃、別の会社からはアパートを紹介してもらっていました。ただ、準備不足を指摘されたことをきっかけに自分の金融資産を見直し、この時は購入を見送りました。
医師という肩書があっても、購入後の経営に必要な準備まで整っているわけではありません。
購入に使う自己資金だけでなく、購入後に残すお金や、自分が何のために不動産を持つのかも考える必要がありました。
最初の会社とは取引に至りませんでしたが、準備不足を率直に伝えてくれたことには、今でも感謝しています。
その後、私はトランクルーム投資から始めました。その経緯は「一棟アパートを買えなかった私が、トランクルーム投資から始めた理由」で詳しく書いています。
購入に至らなかった面談にも、意味があった
物件を紹介してくれた別の会社との面談からも、多くのことを学びました。
それまでは、書籍を読んでいても、アパートを購入した後の経営を具体的にイメージできていませんでした。
実際の物件を紹介してもらい、家賃や経費、収支について説明を聞くことで、アパート経営の大枠が少しずつ見えてきました。
会社からもらった資料は、帰宅後に自分でも確認しました。計算方法を解説した書籍を読み、それに従ってExcelに数値を入れ、計算し直しました。
提示された数字を眺めるだけでなく、自分でも手を動かしてみる。この作業が、理解につながったと思います。
担当者が丁寧に対応してくれたことで、面談への緊張もほぐれました。その経験は、他の会社を訪問するときにも役立ちました。
1棟目を買うまでに、紹介された物件を自分から断ったことが2回ほどあります。最初は自分の資金に不安があり、購入後にうまく運営していけるイメージが持てませんでした。
2回目は、今の1棟目を購入する直前でした。資金面ではある程度準備が進んでおり、物件の紹介を受けて購入エントリーを表明しました。紹介してもらえたこと自体がうれしく、「アパートを所有できるかもしれない」という期待で、わくわくしていました。
その頃、書籍で収支計算を学び、紹介された物件の数字をExcelに入れました。少し不安のある数字だったと記憶しています。ただ、初めての計算だったので、「こんなものなのかな」とも思っていました。
その頃、書籍などを読んで、現在お世話になっている会社の投資の考え方に共感していました。その考え方を踏まえて検討中の物件を見直すと、自分にはあまり合っていないように感じました。そこで、現在の会社と取引しようと決め、検討していた物件はお断りしました。
その後、今の1棟目と収支計算を並べてみました。自分の計算では1棟目に問題は見つからず、見送った物件にはやはり収支上の懸念があったのだと思いました。この比較を通して、購入前に自分で収支計算を行うことの重要さを感じました。
結果として購入しなかった会社であっても、面談に意味がなかったわけではありません。説明を聞く中で、自分が理解できていることと、まだ分からないことを整理できました。
決め手は、自分の投資方針と説明が一致したこと
現在もお世話になっている会社では、社長が直接面談してくれました。
最初の面談では、物件の紹介はありませんでした。
その代わりに、私の状況を細かく聞き取り、投資全体の組み立て方や、長期的にどのように物件を買っていくかについて説明してくれました。
その中で印象に残ったのが、築古物件の減価償却と、手元に残る現金の再投資についての話です。
減価償却による税負担の軽減については、私自身も事前に調べ、勉強していました。そのため、説明の内容は理解しやすかったです。
面談では、家賃収入に加え、減価償却によって税負担が軽くなる期間の手残りも活用し、次の投資に回していく考え方の説明がありました。10年ほどの長い期間で、その積み重ねを考えるという話でした。
これは、私がもともとイメージしていた投資の進め方と重なっていました。
医師として給与を得ている間に、融資も含めてどのように投資を進めるか。目の前の1棟を購入するだけでなく、その先まで含めて相談できると感じました。
もちろん、これは当時説明を受けた投資の考え方です。10年続ければ一定の成果が得られるという意味ではありません。実際の手残りや次の購入が可能かどうかは、その都度確認していく必要があります。
また、方針に賛成してくれるだけで十分とも思いません。自分の考えに無理があれば、その点も話し合える相手であることが大切だと思います。
準備が整ってから、自分で連絡した
現在の会社との最初の面談の頃は、トランクルームや株式などに資金を振り分けており、1棟の物件を購入するためのまとまった自己資金は準備できていませんでした。
そこで、これらに振り分けていた資産を整理し、購入に向けた自己資金を準備しました。準備が整った段階で、私の方から改めて連絡しました。その後に紹介されたのが、現在保有している1棟目の物件です。
自己資金の準備を進めている間、会社から購入を急かされることはありませんでした。自分の準備が整ったところで相談を再開できる関係は、私の性格に合っていました。
もちろん、営業の連絡が少ない会社なら信頼できる、という意味ではありません。自分が納得するまで考え、準備する時間を持てたことが良かったのだと思います。
46歳で購入を見送ってから、52歳で1棟目を買うまでに取り組んだことは、「46歳で一度断られた私が、52歳で1棟目を買うまでにしたこと」にまとめています。
信頼できる会社でも、数字と現地は自分で確認する
勤務医が本業を続けながら、すべての物件を専門家と同じ水準で見極めるのは難しいと思います。
自分の方針を理解し、物件を選んで紹介してくれる相手は、その意味でも重要です。
ただし、信頼できる会社を見つけたからといって、購入の判断まで任せてよいわけではありません。
現在の会社から紹介された物件についても、税引き前のキャッシュフローが回るか、家賃が下落した場合や金利が上昇した場合にも利益が残るかを確認しました。現地にも自分で足を運びました。
減価償却の説明に納得したことと、個々の物件を購入すると判断することは、分けて考えています。
これまで、この会社から紹介された2棟を購入しました。
信頼している会社だから無条件で買ったわけではありません。自分でも収支や物件の状態を確認し、納得できたから購入しました。
購入後も、管理の報告や質問への返答、問題が起きた際の対応などを通して、少しずつ信頼関係ができてきたと感じています。
不動産会社との面談で、私ならこう質問する
これから面談をするなら、物件の利回りだけでなく、次のようなことを聞きたいと思います。
1.なぜ、この物件が私に合うと考えますか?
物件の良さだけでなく、自分の投資目的や今後の働き方に合うと考える理由を聞きたいです。
その説明を受けるためには、こちらも投資の目的や将来の希望を伝える必要があります。
2.収支計算では、空室や修繕、金利をどのように見込んでいますか?
手残りの金額だけでは、その計算がどのような前提で成り立っているのかは分かりません。
数字の根拠を理解し、自分でも確認できるかを大切にしたいと思います。
3.減価償却費が減った後の手残りは、どう考えればよいですか?
私自身、減価償却を活用する考え方に納得しましたが、購入当初だけを見て判断するのは避けたいと思っています。
その先の収支も含めて相談したいです。
4.購入後に残す現金や、管理・修繕の相談先についても教えてもらえますか?
購入できるかどうかに加えて、購入後も経営を続けていけるかを考えるための質問です。
どのような支出に備える必要があるか、問題が起きたときに誰に相談できるかも確認したいと思います。
質問にその場ですべて答えられるかだけで、判断する必要はありません。確認したうえで、根拠を示して説明してくれるかも大切です。
反対に、質問しても数字の前提が分からないまま、契約を急ぐ話ばかりになるなら、私はいったん立ち止まります。
以前、医師という職業へのお世辞が多く、投資方針を十分に話し合えない担当者からの提案を断ったこともありました。
感じの良さだけでなく、自分が判断するために必要な説明が得られるか。その点を確かめたいと思います。
面談の前に、目的と不安を整理しておく
最初から一社に決める必要はないと思います。
まずは、自分が何のために不動産を持ちたいのか、何が分からずに不安なのかを整理しておく。そのうえで面談を受けると、説明を聞く際の軸ができます。
面談前に、購入に回せる金額や購入後に残したい現金を整理する際は、「勤務医が不動産投資を始める前に確認すべき数字」も参考にしてください。
面談で分からないことがあれば質問し、説明や資料を持ち帰って、自分でも確認する。納得できない点が残っていれば、改めて相談する。
購入に至らなかった面談も含めて、私にはこの過程が必要でした。
会社に相談することと、購入を決めることは別です。自分が納得して判断できるようになるために、面談の機会を使っていけばよいのだと思います。


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